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2014-05-26

本読みの小旅行 00020.葉っぱ

00020

何枚もの葉っぱの写真と、いくつもの恋。
「僕」と「あなた」、「あの人」と「私」。
社会の最小単位である『カップル』の、いくつもの恋のカタチ。
線になってつながったり、離れて点になったりしながら、いつも身近にある恋。

目に映るはその人だけ。
気になるのはあなたのことだけ。
彼女の面影を探し、彼の匂いを思い出す。

小学校だったか、中学に入ってからだったか、初めて銀色夏生を読んだ時、恥ずかしいくらい全然分からなかった。
恋という恋をしたことがないからだと思っていた。

大人になったいま、改めて読んで愕然とした。
恥ずかしいくらい全然分からなかった。
そもそも相容れない作家だったのか、それとも、銀色夏生に呼応しそうな感受性豊かな時期を過ぎてしまったのか。
(あるいは両方か)

せっかくなので、詩をふたつご紹介。

「落葉」
忘れたい思いが
ふいに色づいて
きざみつけられた
胸の奥
痛いところに

「どこかの冬の午後」
こうしてあなたといると
私は
どこかの冬の午後に
いるみたい

思うにこれは、恋のおとぎ話なのではないか。
だって、胸の痛みは甘く、別れは美しく、片恋(ニュアンス的に片思いではない)の切なさは媚薬で、隣り合って得るのは昂ぶりではなく、冬の陽だまりのような穏やかさ。
吐き気がする程の高揚も、卑怯な駆け引きも、自棄っぱちなヒロイズムも、破れかぶれな純情も、無縁の世界。
乾いた金の砂粒がサラサラと風に飛ばされるような、そんな恋がカタログのように並んでいる。

それでも、カタログに載るような恋を欲する人に支えられ、いまでも銀色夏生の本は刊行されている。
そのうちの1冊が、百年文庫の棚に並んでいます。

美しい恋物語を求める人へ。

 

「葉っぱ」(銀色夏生、幻冬舎 刊)
<トキメキ薬>

00019.天体議会(プラネット・ブルー)
00018.博物誌

00017.作家の猫

00016.花の詩集

00015.アラスカ 永遠なる生命(いのち)

00014.旅をする木
00013.雪の絵本

00012.なぜ私はこの仕事を選んだのか

00011.わの会の眼
00010.歴博万華鏡

00009.魂のいちばんおいしいところ
00008.ことばの力
00007.森は生きている-十二月-
00006.ある家族の会話
00005.馬車よ、ゆっくり走れ
00004.ロシアは今日も荒れ模様
00003.ビバーク
00002.PAPERSKY No.39
00001.ニューせんだいノート

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