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2016-01-30

本読みの小旅行 00034.「グランドマア・モーゼスのこころ」

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2週間前に1メートル近く積もった雪がほとんど融けないうちに、昨晩さらに30cmほど上積みされた。
出勤してみると、洋館はすっぽり白い帽子とマントにくるまれている。
しかしこの建物は雪がよく似合う。(雪かき作業を考えると、手放しには褒められないのだけど。。)

この景色、どこかで見覚えが、、、と思って、本棚を眺めていたら、あった、あった。
絵画にそれほど詳しくない私でも、どこかで見てそのまま印象に残っている、グランマ・モーゼスの風景画。

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1860年にニューヨーク州の貧しい片田舎に生まれ、主婦となり子供たちを育て上げ、やがて絵を描き始めたのは、70歳をゆうに過ぎてから、というモーゼス(スーパー)おばあちゃん。
彼女が描くのは、ほとんどがアメリカ東部の農村の四季折々の風景と、そこに暮らすひとびと。
遠近感のある構図のなかに、村人や動物がちまちまと動きや表情豊かに描きこまれているので、全体を見て、次に「ウォーリーを探せ」的にすみずみ細部まで眺めてしまう。

冬景色もよく出てくるが、なかでも興味を引かれるのが「砂糖づくり」というタイトルのシリーズ。
雪の積もった林のなか、村人が馬車に乗って集まってくる。
牛が薪の丸太をひいてやってくる。
よく見ると、奥の林の木の幹にバケツのようなものがひっかけられていて、子供たちがそれを大きな樽に運んでくる。
樽の隣では、焚き火の上で大きな鍋がぐつぐつと煮えたぎっている。

どうやらカエデの木から取った樹液を煮つめて、砂糖(メープルシュガー)をつくるということらしい。
その仕事が、冬の、村をあげての一大行事であり、みんながこの日を楽しみにしていることが、一枚の絵から伝わってくる。
画家である以前に、生涯、生活者・労働者であったモーゼスおばあちゃんならではの「風景」画。
(ほかにも、秋のリンゴのシーズンに行う「アップルバターづくり」を描いた絵も、甘い匂いが漂ってきそう、おいしそう、、、!)

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こんな行事があれば、北軽井沢の山麓の冬暮らしも、(雪かきにぶつくさ言うだけでなく、)もっと楽しくなりそうだ。
火を囲んで人々が集まって、、という意味では、先日もあった「どんど焼き」がそれに近いけれど、あれはどちらかというと「祈り」の行事。
「生きる糧を確保するための労働を共同体で分かち合う」という、単純明快な目的が、シンプルでとてもいい。

(コンビニで、砂糖も、パックづめの牛乳も、揚げたてのドーナツやら淹れたてのコーヒーまで手に入ってしまうこの時代には、もう成り立ちえない光景なのかもしれないけれど、、、。)

でも、つい100年前にたしかにあった生活の風景。
アメリカに限らず、日本にも、ここ北軽井沢にも、そんな共同体の姿があったに違いない。
それを探ってみたいという欲求がふつふつと高まってくる。

まずは、ええと、北軽井沢のスーパーグランマを見つけ出すことから始めないと、な。
いや、でも実はけっこうたくさんいるんです、スーパーグランマにグランパ。
みんなシャイで、ひっそり隠れているだけで、、、。